たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
呆然として立ちすくむ。
人の気配に振り向くと,ダニーがいた。
ダニーは部屋に入ってきて,無言で私を抱き締める。
喋らないダニーに代わって,私は無茶を言うように尋ねた。
「ねぇダニー。嘘だよね,私のせいで」
「違う。エヴィーのせいじゃない」
顔を覆って細く小さくなる私に,ダニーが言い聞かせるように言う。
小さく嗚咽を溢しながら,私は涙を溢した。
そう。
私のせいじゃない。
でもなら
(どうしたらよかったの)
「エルヴィスさんの事は俺が,俺達がどうにかする。その間エヴィーは何も考えず部屋で休んでろ」
「……うん」
何も考えず,どこにも行かず。
(誰にも脅かされないように)