たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
来たら殺されるのだと,怖かったでしょう。
だからお互いのためにもう来ないと,そう思っていた。
なのに,さっきからずっと鳴っている新しい侵入者の知らせに胸がざわめく。
どうせ警戒して登ってなど来れないと高をくくる私に,外から呼び掛ける声がかかった。
「エルさーーーん!!!!」
がたりと,見開いて椅子から落ちそうになる。
まさかと外を見下ろせば,そこにはまだ記憶に褪せないエヴァーの姿があった。
「どうしてっ」
エヴィーは底無しに真っ直ぐだ。
だからきっと,何かしらの目的があるのは分かってる。
でも,どうしてと心で問わずにはいられなかった。
どうして離れてくれないの。
どうしてその名前を封印してはくれないの。
ためしに魔法を手当たり次第投げつける。
驚いたようだったエヴィーは,それでも私の弟子だもの,本気じゃない魔法なんかじゃびくともしなかった。