たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~


魔女の村と男。

2つを盾にされて魔女は,その言葉を信じた。

涙ながらに答えて,結果村は全焼。

けれど,魔女がその事実を知ることはない。

魔女は男の目の前で,兵士によってその命を散らした。

男は,魔女を愛していた。

魔女だと知ってなお,その後の奮闘を見て気持ちを変えることなどありはしなかった。

捕まった後ですらずっと抵抗を続けていた彼は,魔女の死後も捕らえ続けられ。

挙げ句の果てに,処刑された。

魔女を嘲笑い村を燃やした兵士は,王を危険にさらしたことを謝罪すると共に自信があったと告げることで心象をよくしようと画策し。

勇敢なる兵士への褒美として,王女と時期国王の座を手にすることが出来た。



「それが,本当の出来事。本当は静かに帰ろうと思っていたけど,それを読んでやめたわ。魔女に倣って,私も王に直接逢うことにしたの」

『ハリーが私を殺そうとするのを許すのはなぜ? 王であるあなたの許可が無ければ,こんなことにはならないでしょう。違う?』



王は私の問いに何一つ答えなかった。

その代わりに,私は魔女の名前を借りて置いていったのだ。

もっと上手く交渉する術を持っていれば。

けれど虚勢を張り王に喧嘩を売ることが,ただの小娘でしかない私に出来る精一杯だった。

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