たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~


『森の魔女,アリエル·アーシアは,絶対にあなた達には屈しない。その気になったら滅ぼしてやるから,今に見てなさい』



魔女の存在そのものが,哀れな私のようで。

重ねてしまった。

魔法と言う素晴らしい文化を形成していたのに,遅れていただけの王家に潰された。

そう思えば,怒りすら沸いてくるようだった。

失われた文化に敬意を払うために,私は魔女を名乗ることにしたのだ。



「でも不思議ね。ただの同情だったのに。他者から久々にそう呼ばれると,本当に自分が魔女なのかもしれないと思えてくるわ」



魔女とは,得体の知れない生物などではなく,当時の先進的な人間を指す。

魔力量が高く,魔法知識も多い。

魔力量·好奇心·探求心,そして身に降りかかり続ける災い。

どれをとっても,末裔だと言われたところで驚かない。
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