たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
そうしゅんとされると,こちらが虐めてるみたいだ。
「で,でもね! 今日はお願いがあって来たの! それを聞いてからにしてくれない?」
必死に距離を詰められる。
どうしてか攻撃するわけにもいかなくて,私は逆に一歩後ろにトンと下がった。
「お願い?」
(まさか,私を連れていこうと? 勘づいた国に,何も知らず利用されている可能性はある)
教えられたとすれば,この到着の早さにも納得がいく。
「私……っ強くなりたいの! あの私に見せてくれた花火みたいな知識だって欲しい! だから,私を弟子にしてください……!!」
その子は頭を深く下げて,プロポーズでもするかのように私へ右手を差し出した。
「弟子……?」
(何をいってるのこの子は。こんな無防備な体勢で,刺し殺されても文句言えないわよ)
「うんっ! 魔法の特訓がね,思うようにいかなくて! これ以上どうしたらいいか分からなかったんだけど……」
手を取ってもいないのに,その子はがばりと顔をあげる。