たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「エヴィー,え……ヴィー……うそよ,ごめ……どうして……!!!!!」
出逢わなければよかった。
私が私として生まれてこなければよかった。
分かっていたのに。
引き返せる瞬間など,いくらでもあったのに。
エヴィーを手離さない選択を,他でもない私が取った。
すがれば振り向く彼女だと知っていたのに,私は。
私がいなければ不幸になどならなかった人間が,一体どれほどいただろう。
殆どが暗殺なんかを生業にしているような輩でも,私がいなければ落とさなかった命がいくつもある。
誰の希望にもなれたはずのエヴィーは,私がこの世から奪って。
エヴィーの代わりの様に生きる私が,真逆の絶望をこの世に与えた。
「ぁ,……ぁ……ふっ…………ー!!!」
暫くの間。
かつてない悲しみの嗚咽が,孤立した魔法の上に響いていた。