たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「エヴィーを追う」
ダニーのきっぱりとした決定に,僕とベッキーは頷いた。
教会を出ると街の人の少なさを疑問に思った。
ダニーとベッキーは特に気にしてもいなかったけど,それどころじゃないことは分かってる。
森の入りやすい入り口に向かうにつれ,人だかりが増え。
理由は遠くからでも完全に理解することが出来た。
収拾に追われる役人が,どこからか声を張っている。
「なによ,これ」
「魔法だろうな……誰がこんなこと」
森一帯を囲むように,天へとのぼる,硬い壁。
一晩で出現させることが出来る職人などいないから,魔法で間違いない。
(この規模の魔法の発現,完璧な硬度)
そんなことが出来るのは,エヴィーを軽く凌いだあの人だけ。
エヴィーでも出来るのか分からない。