たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
(中からエヴィーの声だけでも聞けたら)
エヴィーが乗り越えてくる手助けくらい,出来るだろう。
(どうしてエヴィーから目を離してしまったんだ……っ)
1番不安を抱えているのは彼女だと分かっていた。
だけど僕はそれをダニーの役割だと決めつけて,余計なことだとほとんど声をかけることはしなかった。
エヴィーを失っては,意味がないのに。
僕が心配と下心の区別もつけられなかったせいで,エヴィーに触れるのを躊躇して背けたせいで。
…昨晩熟睡していたのが,恨めしい。
打ち付けるような長い後悔の後,がらがらと音がして振り向くと,数多くいた街の人はすっかりいなくなっていて。
大きな機械をダニーがひいていた。
「ドリル?」