たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
せめてもう一度,アリーに会えたら。
そう叫ぶ僕の心も,城を壊すつもりでないと物理的に出られないこの部屋に,閉じ込められたまま。
直ぐに出られると思っていた。
直ぐに気が変わると思っていた。
父王はどうしてしまったのか,そう思う反対に,時間昔の父王に,目を覚ましてくれると思っていた。
それが間違いであったことは,この7年と,ミス クレアが証明している。
国一番の魔導師クレア·バートンが僕の専属として共に閉じ込められるようになったのは,僕の1週間遅れての事だった。
『ハリエル……様。どうしてこのような所に』
『ミス クレア?!? 貴女こそどうして……それにどうして敬称をつけるんです? 今までのようにハリーと』
『いいえ,それは出来ません。私はハリエル皇太子の専属魔導師として,共に魔法を極めるようにと仰せつかっているのです』
王子として扱うようにと命じられたらしいミス クレアは,どうやら何も聞かされていなく。
僕の軟禁を見てひどく驚いていた。
そしてそんな彼女も
『なりません。この部屋に立ち入った者は誰であろうと出すことが出来ません。クレア·バートンは王子の部屋に繋がる部屋でお過ごしください』
もう,7年出ていない。
『まっ…正気ですか?!! 仮にも王子ですよ? 間違いがあったら』
『間違いなどないようにお願いします。ただ部屋が繋がっているだけ。問題などありません』