たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~



運動すらまともに出来ないなか,不幸中の幸いなのはお互いの存在だった。

学生時代で時間が止まったかのように,尽きない興味のなか魔法を極める。

気がかりなのは



『はあ……何はともあれ心配していたんですよハリエル様。同じ日からアリエルも来なくなって。連絡つかずだったのですから』



そして部屋を見渡したミス クレアははっとして口を閉じたのだ。

1日·2日ならともかく,1週間も無断で欠席をしていたと言う。

その理由が僕なら,いいのだけど。

僕の護衛もとい監視は知らないと言った。

アリーの不登校に,どんな意味があるのか。

小さな不安が,今も気がかりとして残っている。



(アリーは元気かな)



アリーに逢いたい。

たとえ誰かの妻になっていても,子供がいても,僕との日々を欠片ほどしか覚えてなくたっていいから。

今も残っているか分からない恋心を確認したい。

懐かしいアリーの笑顔に安心したい。

< 201 / 238 >

この作品をシェア

pagetop