たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
(君は今,幸せ?)
「ハリエル様」
またミス クレアに声をかけられる。
「今日はどこかぼーっとされていますね」
その困り眉をみて,僕も苦笑した。
「アリーを思い出すとどうしてもね。ミス クレアも覚えていらっしゃいますか?」
「もちろんですよ。今の私を作ってくれた彼女を忘れるなど,どうして出来ましょうか」
和らいだミス クレアの表情の奥に,僕はまたアリーの姿を見た。