たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
ダニーも変わった。
ずっしりとした体つき,常に少し低い声色。
どちらの変化も,何を得るでもないこの2年を思えば分からないことはない。
ただ
「君達さ,言わないでおこうと思ってたんだけど」
ほら,ベッキーは僕の言葉にぴくりと動く。
そういう反応されると不安になるんだよ。
僕の言葉を恐れるな,何を知られたくない。
「何かあった?」
2人の変化が,ほぼ同時に起こったこと,僕が気づかないはずがないだろう。
「僕はダニーに夢の話なんてされたこともないし,君はいつからかダニーの話をする時に目をそらすだろ」
じわじわじわじわと,仲間なのに,ベッキーとダニーは互いに背を向けるように変化していった。
かつての僕の,いやエヴィーの知るベッキー·アトランとダニエル·トンプソンはもういないのかもしれない。
「なにも,ないわよ。エヴィーが戻ってこないから,不安なだけ」