たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~



ダニーと真剣で戦っていたのは,教会の……いや国御抱えの暗殺集団だ。

僕が生け簀かない男に持ちかけたあの日から,あっさり姿を現し日々僕たちの実験相手になっている。

だからといって,本当に実践よろしく殺していいはずもない。



(エヴィー)



情けないな。



(僕たちはどう頑張っても,"君"のパーティーメンバーだ。君がいなきゃ,もうとっくにこの有り様で,ボロボロだ。ここから,どうやってまとまればいい?)



「……?」



今日はもう戻ったはずのダニーが,険しい顔で戻って来た。

苦しそうに歪めた顔を僕に向けて,近くで止まったダニーが口を開く。



「ノア。俺達は明日,エヴィー捜索,もしくは救出と,魔女討伐のために森へいく」

「……は」



また,この2年1度も顔を出さなかったあいつが来たのか。

未だエルヴィス(エヴィーのお義父)さん1人救出できない役立たずな僕たちに,それは拒否できない命令だった。

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