たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「私達にだって,数年かけて培ったプライドがある。エヴィーの居場所につくというなら,私達と勝負しなさい。1人でも膝をつかせることが出来たなら……黙って従うわ」
ダニーも異論がないのか,姿勢を少し整えただけ。
(ちょっと待ってくれよ)
今仲間割れされるのは困る。
明日は万全でいたいのに……
2人ともどうかしていると思った。
(大事なのは僕らの感情よりも,エヴィーを取り戻せるかどうかなのに)
けれど,ベッキーの癇癪のような激情を前にして,それを遮ることなど出来なかった。