たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
こんな,どんなに極めたって粗末な魔法で,痛かったわね。
ごめんね,ごめんね。
深く,深く突き刺さる。
痛みで,脳がバグを起こすほどだった。
苦しむ時間が短くて,沢山の人に申し訳がないけれど。
そんな姿,ハリーや子供達,いえ,ノアというあの子には見せられない。
何より,器用なハリーの手で,万が一にも助かってしまわないよう。
本能の拒絶を無視して,魔法を発現させつづける。
(エヴィー,ごめんなさい)
あなたとの出逢いが,あなたを苦しめた。
私との過去が,あなたを殺した。
エ,ヴィー
後ろに倒れ,自分の長く暮らした家を見る。
少し不格好な,生きるために必死に建てた素人の家。
少しだけ,エヴィーの姿が見えた。
手入れを欠かさず,状態を保ってきたエヴィーの姿は,今もなお眠るように美しい。
わたしの
(最初で最期の,1番弟子…)