たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~




「エルさん,珈琲飲む~?? 今なら私がいれてあげるよ!」



半年も月日が経てば,エヴィーはすっかり我が家に馴染んでいた。

食器の位置も,家具の配置も何もかも覚えてるエヴィーは,くるくると好きに動き回る。



「じゃあお願いしようかしら」



私が頼むと,嬉しそうに笑った。



「でも不思議。こんなに色々考えなきゃ,珈琲一杯まともに出来ないのに。前はどうやってたのか分からなくなっちゃった」

「そうね」



弟子の成長が微笑ましい。



ーシュンシュシュシュ……ッ



連続するかすれた音。



「お客さん? だよ」

「そうね。もう少ししたら迎えに行くわ」


< 33 / 238 >

この作品をシェア

pagetop