たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「エルさん,珈琲飲む~?? 今なら私がいれてあげるよ!」
半年も月日が経てば,エヴィーはすっかり我が家に馴染んでいた。
食器の位置も,家具の配置も何もかも覚えてるエヴィーは,くるくると好きに動き回る。
「じゃあお願いしようかしら」
私が頼むと,嬉しそうに笑った。
「でも不思議。こんなに色々考えなきゃ,珈琲一杯まともに出来ないのに。前はどうやってたのか分からなくなっちゃった」
「そうね」
弟子の成長が微笑ましい。
ーシュンシュシュシュ……ッ
連続するかすれた音。
「お客さん? だよ」
「そうね。もう少ししたら迎えに行くわ」