たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
魔法学生の初恋。
「エルさんって,ほんとに不詳の魔導師って感じだよね」
本日2杯目の,エヴィーのいれた珈琲。
ショートケーキと共に口へ運ぶと,向かい合うエヴィーが唐突なことを言う。
「私,エルさんの年齢すら知らないんだもん」
「詮索はしないって約束でしょ。師のアリエル·アーシア。名前を教えただけでも充分よ」
「うん,そうだね。ただ,格好いい,っていう話!」
「どこが?」
私はつい,突拍子もない言葉に呆れてしまった。
(私に興味が湧くのは時間の問題だと思っていたけど)
もちろん,聞かれても答えるつもりもない。
「ふふ。ないしょ。じゃあねえ,これならいいでしょ?」
「?」
「エルさんって,好きなひと,いる??」