たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「意地悪なことを言ったわ。忘れて」
「?」
「あなたの気持ち,とても分かるわ」
かつて,私にも同じ様に想う相手がいた。
エヴィーが顔をあげる。
「今のあなたよりあと数ヶ月先の事よ。私は魔法の研究でちやほやされて,高校生でありながら大学で正真正銘の個室を与えられて」
あり得ない導入に,エヴィーはより興味を持った様だった。
(通うことすら免除されているエヴィーに比べたら大したこと無いはずなんだけど……)
私はエヴィーの反応を楽しみながら,続きを話す。
「そこに,何故か,同じ高校生の彼が勝手に入ってきたの」
「どうして?」
「ほんとよね。でも授業中のはずの時間にそれがゆるされるくらい,彼もまたある意味"特別"だったの」
(こう聞くと,学校の体制ががばがばみたいね)