たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~


「すごくびっくりしたけど,私の話ややっていることに興味を持ってくれて……権利の乱用で彼を助手にしたの」

「……ええ?! いいの?!! ……
……ふふ,幸せそうだね,エルさん」

「そうね,幸せだったわ。恋を自覚した訳じゃなかったけど,少しずつ惹かれて」



あんなに破天荒で,真っ直ぐな人は他にいない。

その気質は



「そうだわ,エヴィー。あなた,もしとても強い誰かに命を狙われたら,どうする?」

「もちろん,敵わないなら逃げる」

「いいことね。もし,殺さずに勝つことも逃げることも出来ないなら?」

「……うーん,諦めるしかないんじゃない?」

「……ふふ,どうして?」

「だって,それを理由に殺すなんて嫌。今は魔法だってある。卑怯でしょ? それに襲われた,なんて人を殺す権利は要らない」



とても,エヴィーに似ている。

その短い質問は,色んな理由で今までエヴィーに投げられなかったもの。

怖くて,切なくて,すこしだけ,あいたくて。

私に確信を与えた答えに,私は涙を瞼の裏に隠した。

記憶が,熱く甦る。

今の私こそ,持てない答え。
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