たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
『ハリー……。諦めるって,実際そんな目に遭ったら,絶対無理だと思うわ。怖いもの。それにいいじゃない。相手も覚悟の上よ』
せっかく教えたのだから,最大限魔法を利用すればいい。
寧ろそうするしかない。
そう呆れた私に,二人きりの研究室で,彼は困った顔をした。
『嫌だよ。君に貰ったもので人を殺すなんて。──はそう言うけど,僕はそんな権利要らない』
『ふぅん。でも,諦めちゃ嫌よ私。それにあなたそんな立場じゃないでしょう。もっと自分を大事にしなくちゃ』
『あはは。そうだね。でも大丈夫だよ。そんな相手いなくなるくらい,──の次に僕が強くなればいい』
『……ふん。私は魔力が多いだけだもの。ハリーは器用だし,短期戦なら分からないわ』
『じゃあその時は……──のことも守ってあげる』
『生意気言わないで。誰が来たって私の勝ちよ』