たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
白に塗れる。
更に1年が経過したある日。
「エルさん,どうしよう。もうこんな時間!」
エスカレーター式に大学生となっても,相変わらず落ち着きのないエヴィーは,突然立ち上がって帰り支度を始めた。
もうとっくに日暮れの時刻である。
1年半も過ごしていると,エヴィーの変化がよく分かった。
時間のもたらす変化は絶大で,幼さの残った17最のエヴィーからは見違えるように見た目だけが大人びている。
出合った頃には肩ほどの長さだった髪の毛も,今や動きにくいと高い位置でくくられてた。
「あら,ほんとね……って,外は大雨よエヴィー。トロッコを使うのは危険すぎるわ」
ゆったりとした時間さえ演出大雨は,もうすぐ記録的なものになりそうな程。
魔法も知識も身について,本命の恋人まで出来たと言うのに……
向こう見ずで無茶苦茶なところは変わらない。
「今日は泊まったら? どうせいつも眠りに帰ってるようなものでしょう。……住んでもいいのよ」
刺客は私が上手く対処すればいい。
エヴィーは残念そうに首を振った。