たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「ふ」
「?」
「ふ,うぅぅ……ぁずるい,よ……うわーん~ーーーーっーーーー!!!!! エル,さ……える……ししょう……っ!!!」
ずるずると泣きながら,私に背を押されるまでもなく,悪い視界の中でも確実に,エヴィーは慣れた手付きでトロッコに乗った。
えぐえぐというその声を聞きながら,トロッコのワイヤーを緩めてしっかりと握る。
そっと気付かれない程度にエヴィーを抱き締めて,ゆっくりとトロッコから手を引いた。
エヴィーの喉から鳴る嗚咽が大きくなる。
「エルさん,どうして」
小さく聞こえた声をかき消すように。
私はもう一発花火を発現させた。
振り向かないエヴィーには見えない,秘密の花火。
バラの形をモチーフにした,真っ赤な花火。
(今だけでも。……愛しているわ,エヴィー。
エヴァ·ルイスの名前を忘れることはきっとないでしょう)