たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
過去とは未来
繋がり
バサバサと,外套を煩くならして走った。
私を突き放すように,それでも最後まで優しく拒絶した"師匠"を想って。
何か大切なものが少しずつ溢れ,剥がれ落ちていくような気持ちになる。
(早く,早く)
こんな時,1番に逢いたい人がいる。
皆の希望の光,教会に。
広く四角く天に高く伸び,三角錐に閉じているあの教会に,少しでも早く帰りたい。
そんな気持ちで到着した教会の入り口には,closeの札がもう下がっていて。
私は裏口から荒々しくも帰宅した。
教会は,皆の施設。
だけど,教会は,"エヴァ·ルイス",その名前を貰った7歳の頃から,ずっと私の大切な家。
一日の役目を終えた太陽は,もう沈んでいる。
教会の皆は各々自宅や部屋に帰ってしまった後で,内部の電気もオレンジ色に変わっていた。
寂しさを引き出すその色は,いつもと変わらないとしても見ていたくはない。
(エルさん……どうして?)
階段を登り,"皆"のいる階層を目指す。
けれど途中でプツリと何かが切れたように,私はうずくまった。