たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~

長い廊下の真ん中で,自分の体を抱き締める。

エルさんの,すぐにでも崩れそうだった姿を思い出すと,後悔ばかりが増大した。

助けを求めるように,もう一人別の名前を心で呼ぶ。

誰よりも私を大切にしてくれる,大好きで特別な男の人。



「っ………」

「エヴィー? ……」



はっとして顔をあげた。

そこにはたった今思い浮かべたばかりの



「ダニー……~っ」



ダニエルは遠くから蹲る私を見つけて,途端に真剣な表情で駆け寄ってくれる。

その顔を目に映した私もまた,うりゅっと耐えきれない涙を瞳に浮かべた。



「あぁ……ぁ,ふ……ぅぅ"…ぅぅ……ぁ」



声にならない嗚咽を溢して,また顔をうつ向ける。

温もりが近づいたと同時に,私からもみっともなく両手を伸ばした。

その間に収まるダニ-の首筋に,私の鳴き声ばかりがぶつかる。
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