たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「……誰に泣かされたの,エヴィー」
まだ乾かない涙のあとに気付いていたノアは,端的に,柔らかく,感情の読みにくい声色で私に尋ねる。
くしゃっと頭に手を置いたノアに,私も小さく微笑みを音にした。
ノアは違うと言い張るけど,ノアの子供扱いはこんな時ほど変わらない。
ノアを何かからかってばかりいたベッキーも目を丸くして,ノアから取り上げるように私に抱きつく。
つくづく皆には甘やかされていると,ひっこんだ涙がまたあふれそうになった。
「ううん。泣かされたとか,そんなんじゃないの,ノア。ベッキーも。2人にはまた後で話すから……その時は聞いてくれるよね?」
心強い,唯一とも言える築き上げた繋がり。
私には
「今どんなに悲しくても,何とかしてやれるように考えるから。エヴィーには俺達がいる事を忘れるなよ」
仲間がいる。