たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
過去とは未来
一旦体を温めてゆっくりした方がいいと促されて,自分の部屋でシャワーを浴びた後。
シャワールームから出ると,同じく汗を流したあとらしいベッキーがソファーの上で待っていた。
「来てたのベッキー」
困らないからと鍵を開けてるのは私だから,慣れた調子で声をかける。
まだ鼻先の赤い姿でいる事が,少しだけ恥ずかしかった。
普段きちんとしているベッキーの髪が濡れているのを見るに,敢えて急いでやってきたのだと思う。
「ええ,ちょっとね」
おもむろに立ち上がったベッキーは,私の体を包み込むように抱き締めた。
(今日は2回目)
ふよんとした柔らかさが,隠している甘え気質のせいか少し嬉しく感じる。
パーティーのメンバーとは,全員高校に上がってすぐの王命が下った日に出逢ったけど。
中でもベッキーは,同じ性別って言うのもあって,お姉さんのような,1番最初に仲良くなった親友だった。