意地悪なクラスメイトが、最近甘くて困ってます


突然低い声で名前を呼ばれ、私が顔を上げると。


「……っ、相楽くん……」


目の前には、部活終わりなのかスポーツバッグを肩にかけた、陸斗くんの弟である相楽くんが立っていた。


双子といっても、相楽くんは陸斗くんとは顔が全然似ていないはずなのに。


彼を見るとなぜか陸斗くんの顔が頭を過ぎってしまい、私は顔を背ける。


「小嶋、なんで泣いてんだよ?」


相楽くんが、私の前にしゃがみ込む。


「お前、何かあった?」

「相楽くんには、関係ない……っ」


いつもは、私に意地悪してくるくせに。


どうしてこんなときだけ、相楽くんの声は優しいの?


「関係ないことねぇよ。目の前で自分の好きな女が、泣いてるっつうのに」

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