意地悪なクラスメイトが、最近甘くて困ってます

「海斗くん、頑張って……！」


私が思わず声を張り上げたとき、海斗くんがふいにこちらを見た。


こくりと頷き、膝を曲げてゴールを見据えた海斗くんが綺麗なフォームでシュートを放つ。


海斗くんが放ったボールは、力強い軌道を描いてゴールに吸い込まれていった。


ピピーッ！


それと同時にホイッスルが鳴り響き、試合は終了。


海斗くんのチームが見事、逆転勝利した。


やった！　私は自分のことのように嬉しくて、その場でついピョンピョンと飛び跳ねてしまう。


「相楽、ナイッシュー！」

「おう」


駆け寄ってきたチームメイトとハイタッチする海斗くんの笑顔は、キラキラと輝いていて。


そんな海斗くんの珍しく無邪気な笑顔を、私はなんだか可愛いと思ってしまった。


「海斗くーん」


私がそんなことを思っているうちに、チームメイトと話していたはずの海斗くんは、あっという間にファンの子たちに囲まれている。


「……ちっ」


海斗くんは舌打ちをし、少し迷惑そうな顔をしている。


「海斗くんおめでとう〜」

「相楽くん、さっきのシュート凄くかっこよかった！」


それでも構わず、海斗くんを取り囲むファンの子たち。


せっかく来たから、私も海斗くんと話したいと思ったけど……あれじゃ多分無理だな。


私が、体育館の出入口へと向かって歩き出したとき。


「希空！」