意地悪なクラスメイトが、最近甘くて困ってます
なんと海斗くんがファンの子たちをかき分けて、私の元へと駆け寄ってきてくれた。
「希空、来てくれたんだ。ありがとう」
「ううん。私はただ、ファンの子たちに混ざって見てただけだから」
どうしよう。わざわざこっちに来てくれたなんて……嬉しい。
「でも、希空の声援バッチリ聞こえたぞ。俺、希空が見てくれてるって思うと、今日めっちゃ頑張れた」
「そんな……海斗くん、大袈裟だよ」
「ううん、大袈裟じゃない」
海斗くんの唇が、私の耳元へと近づく。
「俺、希空の応援が誰よりも嬉しかった。来てくれて、ほんとありがとうな」
他の皆には内緒とばかりに、海斗くんは私にだけ聞こえる声で言う。
「希空、また応援に来てくれる?」
「……っ」
耳元に海斗くんの顔があるから。さっきから海斗くんが話すたびに、息が耳にかかってくすぐったい。
「いい、よ」
「うっしゃ。やった!」
私の言葉ひとつで喜んでくれる海斗くんに、私は思わず笑みがこぼれた。