意地悪なクラスメイトが、最近甘くて困ってます
「ふはっ。希空、俺だよ俺」
えっ、この声は……。
「海斗くん!」
ようやく私の目から手が離れたので振り返ると、後ろに立っていたのは海斗くんだった。
「もう! 海斗くんったら、いきなりこんなことしないでよ」
「悪い。希空が泣きそうな顔で、陸斗のことを見てたからつい……」
「えっ。私、また泣きそうだった?」
「ああ。この前、あれだけ沢山泣いたんだから。できればもう、希空には泣いて欲しくなくて。目隠ししてごめんな?」
「ううん」
さっきまでわずかにぼやけていた視界は、いつの間にかクリアになっていた。
「なぁ希空、このあと時間ある?」
「え? うん」
「それじゃあ、今から俺と付き合って」
私は、海斗くんに手を取られる。
「でも海斗くん、部活は!?」
「毎週水曜は、部活休みなんだ」
そう言うと、海斗くんは私の手を引きながら教室を出た。