意地悪なクラスメイトが、最近甘くて困ってます
背中には嫌な汗が伝い、心臓の音がバクバクとうるさく響く。
お願い。どうか、バレませんように。
こんな、海斗くんに抱きしめられているところなんて見られたら……。
きっと、今まで以上に敵視されるのが目に見えてるもん。
私はハラハラしながら、じっと息をひそめる。
さすがの海斗くんも状況を察したのか、今は何もせずにじっとおとなしくしている。
「あっ。教科書、やっぱり教室に置き忘れてたわ」
ナホさんが、英語の教科書を机の中から取り出す。
「教科書、あって良かったね。それじゃあ帰ろうか」
二人の声と足音が、だんだんと遠ざかっていく。
二人とも出て行った……?
私たち、なんとかバレずに済んだの?
「よし。大丈夫そうだな」
海斗くんが私から離れ、カーテンを開ける。
教室には私たち以外もう誰もいなくて、一気に緊張が解けた。
「ああ、ドキドキした……」
「ほんと、危なかったな」
それだけ言うと、海斗くんは何事もなかったように席に戻る。