御曹司からの切望プロポーズ~妖艶で蠱惑的な瞳に迫られました~
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俺が奈瑠さんと初めて出会ったのは、三年ほど前になる。
当時二十六歳だった俺はリベルラの副社長ではなく営業統括本部長という肩書きだったが、彼女の父親が社長を務める会社・九重電子株式会社には仕事で何度か訪れていた。
「失礼します」
ある日、九重電子で商談をしているときに、会議室へ温かいお茶を淹れて持ってきてくれた若い女性がいた。
今まで見たことがない人物だったから新しいスタッフなのかと、ふと気になってその人を視線で追ってしまった。
「これね、うちの娘なんですよ」
「え! あ、そうでしたか」
九重社長の言葉に衝撃を受けた俺は、思わず声が上ずりそうになる。
「九重奈瑠です。いつも父がお世話になっております」
このふたりが……親子? なんの冗談だと疑いたくなるくらい似ていないじゃないか。
顔のパーツがすべてゴツゴツとしている九重社長の遺伝子で、なぜこんな美人の娘が産まれてくるのか不思議でならない。
そんな心の内を隠すように、俺は平静を装って椅子から立ち上がった。
「天城佑利です。こちらこそお世話になっています」
いつも通り名刺を差し出してあいさつをしたものの、彼女から目が離せなくなった。
くりっとした二重の大きな瞳はうるうるとしているし、ふっくらとした唇は艶やかで弧を描くと美しい。
本人に美人だという自覚はないようで、控えめな女性という印象だ。
俺が奈瑠さんと初めて出会ったのは、三年ほど前になる。
当時二十六歳だった俺はリベルラの副社長ではなく営業統括本部長という肩書きだったが、彼女の父親が社長を務める会社・九重電子株式会社には仕事で何度か訪れていた。
「失礼します」
ある日、九重電子で商談をしているときに、会議室へ温かいお茶を淹れて持ってきてくれた若い女性がいた。
今まで見たことがない人物だったから新しいスタッフなのかと、ふと気になってその人を視線で追ってしまった。
「これね、うちの娘なんですよ」
「え! あ、そうでしたか」
九重社長の言葉に衝撃を受けた俺は、思わず声が上ずりそうになる。
「九重奈瑠です。いつも父がお世話になっております」
このふたりが……親子? なんの冗談だと疑いたくなるくらい似ていないじゃないか。
顔のパーツがすべてゴツゴツとしている九重社長の遺伝子で、なぜこんな美人の娘が産まれてくるのか不思議でならない。
そんな心の内を隠すように、俺は平静を装って椅子から立ち上がった。
「天城佑利です。こちらこそお世話になっています」
いつも通り名刺を差し出してあいさつをしたものの、彼女から目が離せなくなった。
くりっとした二重の大きな瞳はうるうるとしているし、ふっくらとした唇は艶やかで弧を描くと美しい。
本人に美人だという自覚はないようで、控えめな女性という印象だ。