御曹司からの切望プロポーズ~妖艶で蠱惑的な瞳に迫られました~
「あの、もしかして今日って……私たちのお見合いだったりしますか?」
「え?」
「ち、違いますよね! 突然変なことを言ってすみません。勘違いしちゃいました」
「いや、そうだけど。聞いてなかったの?」

 アハハと笑い飛ばしてごまかそうとしたのだが、佑利さんは私の言葉に驚いて目を見張っていた。

「えっと……天城社長と奥様をお迎えしてホテルで会食をする、とだけ聞いていて……」
「今日は俺たちの見合いだったよ。最初からね」

 今度は私が驚く番だ。両親からはなにも告げられていなかった。
 佑利さんがこの場に来ることすら知らされていなかったのだから。
 サンセリテホテルでのかしこまった会食、父の緊張、気合が入って濃くなった母のメイク……今になって一瞬ですべてが繋がった。
 家に帰ったらとにかく両親を問い詰めなければいけない。

「俺の希望でそうしてもらったんだ。知らなかったのならビックリさせたね」
「佑利さんの希望?」

 心の声が漏れ出るようにつぶやいた私を見て、彼は余裕のある笑みをたたえた。

「結婚を前提として俺と付き合ってほしい」

 驚きすぎてポカンとしたまま固まってしまった。

「……えっと……」

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