空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
那知が目覚めたところでキッチンでピザを温め直し、2人で遅めの夕食をとりながら、親父から言われた仕事の話を切り出した。


「今日、親父から聞いた仕事の話なんだけどさ」

「最後に賢太郎さんが残った時の?」

「うん。それでさ俺、ホールディングスの仕事で少し東京を離れないとなんだ」

「え?少しって、どれくらい…?」

「そうだな…1か月は過ぎるかな…2か月はかからないと思うけど」

「そう……でもどこに行くの?」

「あぁ、地元の辺り。華舞やアサト本社の近く」

「そうなんだ…」

「那知はどうする?俺はここにいて欲しいけど…自分のマンションの方が良ければ無理にとは言わない。…けど」

「賢太郎さんがいいなら、ここに住んで待ってるよ」

ほっ…
「ありがと、よかった」

「じゃあその間、TOKIWAの方は龍綺さんが社長代理の代理をするの?」

「あぁ。その件はまた親父から直接龍綺に連絡が行くと思うけど」

「そっか、龍綺さんなら大丈夫だね」

「何だ、やたら龍綺を信頼してるんだな。…妬ける」

「あはっ、龍綺さんなら賢太郎さんとツーカーだから、もしTOKIWAで何かあっても大丈夫だって思ったんだってば」

「じゃあそれは俺を信頼してるって事なんだな?」

「もちろん!私は賢太郎さんを信じてるから。だから…少しの間、離れてても大丈夫」

そうニコッと笑う那知をまっすぐに見て、俺は正直に言った。

「…本音を言えば、俺は離れたくないよ。できることなら那知を連れて行きたい」


すると…那知の目に涙が溢れてきた。

「……そんなこと言わないで。…私だって離れたくないんだから……でも…現実はそうはいかないから…我慢しなきゃなの……強く気持ちを持ってないとなの……だから…そんなこと言わないで…」

「那知…」


そうだ、那知は強い子な訳ではないんだ…
それに気付いた俺は席を立ち、那知を抱き締めた。

「ごめん、那知……ほんとごめん。そうだよな、那知も寂しいよな。無茶言ってごめんな…」

「…ううん、私こそごめんなさい……賢太郎さんのその気持ちはすごく嬉しいの」

「ん……正直に話してくれてありがとな。それもすごく嬉しいよ。…じゃあ、夕飯の続きしようか」

「ふふ、そうだね」

それからまた俺達はいろんな話をしながら、少し頼みすぎたか?と感じたピザとサイドメニューを何とか食べ切った。

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