空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

「……そこで、東雲さんはTOKIWAの代表としてコンペ作品の製作に移る。日も限られているため、来週中には工場へ出向き、終わるまではこちらに戻らない予定だ。なので、営業社員は彼女に頼れない事を念頭に置いてくれ。もし取引先から彼女への新規依頼があれば年明け以降で。…あとデザイン課の皆もフォローしあってほしい」

「デザイン課は大丈夫っすよ!」
「えぇ、社長、東雲ちゃんのフォローは私達に任せて下さい!」
と同僚達は私が抜けることを快く受け入れてくれた。


すると、尚人が軽く挙手をして言った。
「あの、東雲さんはどちらの工場に行くんですか?」

「あぁ、林田くんは東雲さんとペアになることが多かったそうだな。基本、向こうでは他の仕事を入れないが、もし喫緊の用件があれば工場を通して東雲さんと連絡を取ってくれ。PCメールは簡単に仕事が増えてしまうから許可はしない。ちなみに山形工場だ。あぁそうだ、ちょうどいい機会なのでこれも併せて言っておく。営業社員とデザイナーのペアでの営業は、特例を除き今後は解消する」

「え…それは何でですか…」

尚人が困った様に尋ねると、賢太郎さんは岸くんに振った。

「岸くんはわかるか?」

「はい!えっと…時間の無駄、とかですかね」

「それは岸くんがそう思っていたということかな?」

「あ……はい、たまにですが、俺が居なくてもよかったんじゃないか?という場面があったりして」

「正解だよ、岸くん。…以前いられた元副社長の案で、営業とデザイナーがペアを組むようになったそうだが、デザイナーは営業とは違う働き方をしているよな?」

「はい」

「それを営業に合わせるには無理がある。今、岸くんも話した通り、現にデザイナーが同席しなくても成り立っている事も多い。それに細かいことを言えば交通費だってかかる。私の就任時の挨拶でも話したが、私は経営の立て直しを図るために来た。しかしそれは私1人の力でなんとかなるものではないし、そう簡単には行かない。全員での地道な努力が必要だ。それを踏まえて、営業もデザイナーも協力してほしいんだ。…もちろんデザイナーの同席が必要な時もあるが、それを当たり前にしないでほしい。…では質問がなければ以上で終わる」


合同のミーティングが終わると、営業課とデザイン課、双方の人達から「頑張れよ!」「期待してるから!」と励ましの言葉を頂いたが、尚人だけは浮かない顔をしていた。

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