空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

「那知」

「あ、賢太郎さん。忘れ物はなさそう?」

私が手を止めて振り返ると…

「那知の大事な時にそばに居てやれなくてごめんな…」

と、後ろから優しく抱き締められた。

それが嬉しいのに……胸が、きゅ…って少し悲しい音を出した。

抱き締められている腕をほどき、賢太郎さんを正面に見る。

「ううん…賢太郎さんも私もお仕事だもん。お互い頑張ろうねっ」
そう言って笑顔を向けた。


でも、賢太郎さんは少し困った様な顔を見せた。

「ごめん、やっぱり言わせて。…俺は那知と離れたくないよ。できるものなら一生離れたくない。ずっと一緒にいたい。…でも仕事だからな、俺も頑張るよ。那知に〝できない男〞認定されたくないからな」


「そんな、賢太郎さんを〝できない男〞だなんて絶対に思わないって…あははっ…」

気丈に返したつもりだったが、泣き笑いになってしまった。

頬を伝う涙を賢太郎さんが親指でグイと拭うと、そのまま大きな手のひらで私の頬を包み、私をまっすぐに見た。


「那知。これが終わったら、本当に結婚しよう。俺達…家族になろう。…那知、俺のお嫁さんになってくれるか?」


…賢太郎さんの…お嫁さん…

「ん……うん…っ…私、賢太郎さんのお嫁さんになるっ……ありがとう、賢太郎さんっ…」

プロポーズの言葉が嬉しくて…涙が止まらないよ…


「ん…よかった。あ、そうだ。何度も『結婚しよう』って言ってるけど、落ち着いたらちゃんとプロポーズするからな」


……へ?

「…今のはプロポーズじゃないの?ちゃんと、って?」

涙がピタリと止まった。

「はは、今までのもプロポーズって言えばプロポーズだけど、もっとかっこよくプロポーズしたいし」

「…ふふっ、もぉ…いつだってかっこいいのに。…でも、そういうことならわかった。ふふ」

「ありがと、那知。……毎日連絡するからな。夜はビデオ通話しような。…寂しかったら寂しいって言うんだぞ?…心配事があれば必ず言うこと。那知しか愛せない俺が浮気なんてするわけないけど、心配だったら何でも言えよ。那知が安心していられるように何でも答えるし、那知が望むなら俺に興信所をつけたってかまわないから」

「あはっ、ありがとう。賢太郎さんのことは信じてるから。私のことも…心配だったら言ってね。その日の行動とか、私も全部答えるからね」

「大丈夫だよ。俺も那知のことは信じてるから。……じゃあ可愛い那知を目の前にして我慢できなくなってきたし…そろそろベッドに行こうか」

「ふふ、いいよ。…たくさん愛して。私も…会えない分、たくさん賢太郎さんを愛したい」

素直に私の気持ちを伝えると、賢太郎さんがすごく嬉しそうに笑った。

「ん、たくさん愛し合おうな、那知」

「うん」

私も笑顔で返すと、賢太郎さんのキスが顔中に降り注いだ。

嬉しくて、くすぐったくて、ふふふっと笑うと、お姫さま抱っこであっという間にベッドルームに連れていかれちゃった。


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