空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
「じゃあ明日とあさってはなっちゃんはお休みしてね。あと…作品は会社に持ってこないでね」
「えっ?持って来ちゃダメなんですか?」
と聞くと、龍綺さんが口元に人差し指を当て、声を潜めた。
「…ちょっと社内で良くない動きがあるからさ。大事を取って作品は家に置いておくこと。…ねっ?」
「わかりました。では明日、他の荷物と一緒に作品が届いたら、それは家で保管しておきます。賢太郎さんのマンションなのでセキュリティもしっかりしてますし」
「ん、それがいいね」
「龍綺、良くない動きって、堀田リナ?」
霧ちゃんも龍綺さんと同じ様に声を抑えて言う。
「うん。ケンタロくんが向こうに行ってから怪しい動きをしてるからさ、ちょっと泳がせてるんだ」
「それってもしかして、那知も危ない…とか言わないわよね?」
「そうだな…気を付けた方がいいかもね」
「危ないだなんて、そんなこと…」
「じゃあさ、コンペまであたし、那知と一緒に兄貴のマンションに泊まるわ」
「あぁ、それがいいね」
「OK!じゃ那知、今日からあたしがそっちに泊まりに行くからね!会社の通勤も一緒よ」
「そんな!悪いよ……せっかく霧ちゃんも龍綺さんと一緒に暮らせる様になったんだから…」
「いーのいーの、龍綺もそう言ってるんだし」
「うん、ケンタロくんから那知ちゃんを預かってる俺としてもその方が安心できるからさっ」
そっか…
「それじゃあ…お言葉に甘えて、お世話になります」
と、2人に頭を下げた。
──この時は『私が危ないだなんて大袈裟だなぁ』なんて思ってたんだけど、蓋を開けてみると…2人の言うとおりだったの。