空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
波瀾万丈の幕開け
ゆっくりめの朝食を終えた那知とキリと3人で部屋で寛いでいると、朝イチの新幹線で来た龍綺が顔を見せた。
「キリたん、おまたせ!あーやっぱケンタロくんもいた。もしかして一緒に泊まったの?」
「なワケないでしょ。兄貴ってば、那知に早く会いたいからって早朝に来たのよ?」
「アハハハ!ケンタロくんの気持ち、わかるー」
「だろ?」
なんて話していると、那知のスマホの着信音が鳴った。
「あ、岸くんからだ…」
何となく〝何かあったな〞と感じ、4人で顔を見合わせてから、那知が電話に出た。
「はい、東雲です。岸くん?」
『あっ、シノ!おはよう。悪い、社長って今近くにいるか?』
シンとする部屋に岸の声が響く。
「うん、隣にいるよ。龍綺さんと霧ちゃんもいるんだけど、スピーカーにしてもいい?」
『おう、その方がいいな』
それを聞いた那知が、スマホをタップしてテーブルに置いた。
「岸くん、おはよう。何かあったのか?」
『あっ社長!おはようございます。あの、今、新幹線を降りたとこなんすけど、ちょっとトラブルがありまして』
「どうした?」
『乗り換えするのに、ホーム階から下りる階段で後ろから衝撃を受けて落ちてしまって…』
「えっ」
まさか突き落とされた…?
思いもよらない出来事に、また4人で顔を見合わせた。
「落ちたって、お前ケガは」
『あっはい。落ちたといっても下から7、8段くらいのとこからでしたし、下で受け身を取れたので体はほぼ平気ですが、その時に鞄を離してしまって…。お皿はおじゃんですが、他に巻き込んだ人はいないので、そこは大丈夫です』
「そうか…岸くんも他の人も無事なら良かったが……衝撃って何だ、ぶつかられたのか?駅なら監視カメラもあるはずだ、絶対に警察に届け出ろよ」
『そうですね……あっ!』
と、岸の言葉が途切れ、女の声に変わった。