空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
ホテル内のレストランでの昼食を終えてロビーに行くと、ちょうどこの温泉街の共同送迎バスから岸と堀田が降りてくるのが見えた。
「岸くん、お疲れ様だったね。身体は大丈夫か?」
「はい、所々痛みが出てきましたが、ケガというほどではないです。これくらいなら柔道で慣れてるので」
「そうか。ではとりあえず会場に行こう。…堀田さんも見に行くのか?」
「当たり前じゃん。この女の負ける所が見れんだよ?楽しみしかなくね?」
…しかし何で堀田はこれ程まで那知を目の敵にしているんだろうか。
那知から聞いたところでは、今年の4月に堀田が入社してからは特に関わることもなかった様だが…
「ほら兄貴、行くわよ」
キリの声に促され、俺達は岸と堀田を連れてホールへと向かった。
会場となっている〝向日葵(ひまわり)の間〞の扉を開けて入るとまだ誰もおらず、俺達が一番乗りの様だった。
…親父は仕事で遅れるらしいが、アサト側もまだ来ていないみたいだな。
室内を見渡すと、壁に沿って長テーブルが1台と椅子が置いてある他、広間の中央に白いクロスのかかった長テーブルが数台置いてあった。
来るのが少し早すぎたか。
…まぁいい。
俺がパントリーに行くとちょうど姉貴がいたから、二言三言話して岸から預かっていた鞄を渡しておいた。
…それから程なくして、良美さんが飲み物を持って部屋にやって来た。
「あら、賢太郎達はもう来てたのね。今さっきアサトさんがお見えになったわよ。食器もお預かりしたし、もうこちらに来られるんじゃないかしら」
そう言い終わるとちょうど扉が開く音が聞こえ、そちらに目をやると、どやどやとアサトテーブルウェアの社長や秘書、役員達が入ってきた。
それに続いて最後に紅羽が姿を見せた。