空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
答えに迷い…黙ってしまった俺の手を、那知がぎゅ…と握った。
「あのお手紙の人……私と同じ名前なんでしょう…?」
「………」
そこまで聞いてたのか…
「何も…言わないってことは……その人が忘れられなくて……だから……私はその人の代わりなの…?……最初に…可愛い名前だ…って言ったのも…その人と同じ名前…だからなの…?」
俺をまっすぐに見つめたまま、那知の目から涙が溢れ出した。
っ…クソ!もう理由なんかどうでもいい!
これ以上、誤解させていたくねぇ!
これ以上、那知を悲しませてたまるかよ!
「那知、それは違う!那知は那知だ!代わりなんかじゃない!俺が愛してるのは、この那知だけだから!」
俺は那知を力いっぱい抱き締めた。
「不安にさせてごめん!俺がずっと愛してるのは、今、俺が抱き締めてる那知、お前だけだ!」
「賢太郎さん…」
「あっごめん…『お前』なんて…」
「ううん……何て言うか、愛のある『お前』だから…ちょっとドキッとしちゃった」
「あぁ、愛のある『お前』だよ」
俺の胸から顔を上げた那知の表情から翳りが少しだけ薄らいだのを見て……俺は決めた。
嫌われたくはないけど…
嘘はついていたくない。
不安は取り除いてやりたい。
ただ那知の記憶に関わる事だし、那知の身体への影響が気掛かりだ。
だから……
俺は、深部までは言わずに、手紙の事を話すことにした。
「最初に言っとくな。…那知。もしかしたら那知はこれを聞いたら、俺の事を嫌いになるかもしれない。…もちろん俺は嫌われたくないし、これからもずっと一緒にいたいと思ってる。……けど……那知が俺を嫌になったのなら、それはちゃんと言って欲しい。…いいかな?」
これは俺の覚悟。
「ん……わかった」
と、那知が真面目な顔で答えた。