空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
頭痛を感じながらふと目を開けると、見慣れない長い蛍光灯と白い天井が見えた。
夢……
いや、夢じゃない……
あれは…夢じゃ…ない………
そして、目尻から流れた涙が耳を伝っていく感覚に、意識が覚醒する。
あれ……ここって……?
「那知、兄ちゃんだぞ?…わかるか?」
声のする方へゆっくりと視線を向けるとお兄ちゃんがいた。
「お兄ちゃん…」
と呼んだ私を見て、お兄ちゃんの目から涙が流れ落ちた。
「よかった……やっと目を覚ましたな。…今、看護師さん呼ぶな」
ズズッと鼻をすすりながら、お兄ちゃんが何かのボタンを押した。
看護師さん、てことは…
「お兄ちゃん、ここって病院…?」
「あぁ、病院だよ。華舞でお前、気を失って倒れたんだぞ。それで救急車で運ばれて」
「救急車……」
「覚えてないか?土曜日のコンペのあと…」
「あ……何だっけ……急に頭痛がひどくなって…息苦しくなったんだっけ……あれ、今って何時?」
「昼の11時過ぎ、火曜日の」
昼の11時…
てことは1日近く寝ちゃって……
ん?
「…今、火曜日って言った?」
「あぁ、今日は18日の火曜だぞ」
「え…えっ!?……じゃあ私……土曜日から何日も寝てたの!?飲まず食わずでずっと!?」
「まぁ寝てたっつーか意識が戻らなかったっつーかな。でも点滴で水分と栄養は入れてるから大丈夫だ」
「そうなんだ…」
ふとベッドの横に目を移すと、点滴スタンドに掛けられている輸液バッグから延びる細いチューブが布団の中へと続いている。
コンコン……シャーッ
カーテンが開き、薄桃色のユニフォームの若い看護師さんが入って来ると、私の顔を見ながら聞いてきた。
「東雲さん、お目覚めですね、どこか痛いとかありますか~」
「あ…少し頭痛があります…我慢できる程度ですが…」
「そうですか、ひどい様なら痛み止め出しますから言って下さいね。じゃあ先生を呼んでくるのでもう少しお待ち下さーい」
と、ベッド周りを確認しながら必要な事だけを言い、シャーッとカーテンを閉めるとせかせかと忙しそうに部屋を出ていった。