空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
愛しい人
……ぱたん。
お兄ちゃんが出た後の閉まったドアをぼうっと見ていたら、手を握られる感触がして、ハッと我に返った。
…大きい手……あったかい……
「那知」
…振り返り、私の名前を呼ぶ、愛しい人を見る。
嬉しい、とか…
大好き、とか…
不安だったこと、とか…
心配かけてしまったこと、とか……
じわじわといろんな感情が押し寄せてくると、それらは涙腺を緩ませた。
「……賢太郎…さ…ん……」
一度流れ出した涙は止まることを知らず、どんどん堰を切った様に流れてくる。
「那知……抱き締めてもいい?」
「んっ……うんっ…」
笑顔になりたいのに、溢れ出る涙のせいで言葉すらままならない。
すると、賢太郎さんが私の座るベッドの縁に腰掛け……優しく抱き締めてくれた。
あぁ…
賢太郎さんに抱き締められるこの感じ…
すごく落ち着く……安心する……
「…那知……よかった……意識が戻って…ほんとによかった……ごめん…俺のせいだ……俺が…こんな目に遭わせた……辛い思いをさせて…本当にごめん…」
その声は鼻声で…時折嗚咽がもれ、泣いているのがわかった。
私は「ううん、賢太郎さんのせいじゃないよ」と言葉をかけ、賢太郎さんの背中を優しく撫でると、しばらくそのまま抱き合った。