空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
「…よかった…賢太郎さんの気持ちが私から離れていかなくて…」
もう一度、賢太郎さんにゆっくりと抱きついた。
「…どうした?」
その言葉と同時に、賢太郎さんが私をゆっくりと抱き締めてくれた。
「ん……ほんとはね…不安だったの……賢太郎さんの気持ちが紅羽さんに行っちゃうんじゃないかって…」
「那知…何で」
「…紅羽さんは……容姿も…性格も…人間性も……全てが平凡な私なんかじゃ相手にならないほど素敵な女性だから……だから…賢太郎さんがお仕事でこっちに来て…今の紅羽さんを知ったら…もしかしたら…本気で好きになっちゃうんじゃないか…って……」
「那知…そんなに紅羽を気にしてたのか……ごめん…不安にさせて…本当にごめん!」
私を抱き締める力がぎゅうっと強くなった。
「ううん、浮気を疑ってた訳じゃないし……ただ私が…紅羽さんの素敵さを目の当たりにして…自分に自信がなくなったっていうか……これなら離れて行かれても当然かな…って」
「那知……どうしたら俺の想いの全てを分かってもらえるかな…」
「え…?」
「こんなに…こんなに那知しか愛せない俺の…何を伝えたら自信持ってくれる…?」
「ううん、もう大丈夫。……離れてた事もあって勝手に不安になっちゃってた…ホントめんどくさい女でごめんね。でも本当にもう大丈夫、今はちゃんと愛されてる自信あるから」
それは本当の気持ちで、今、こうしていることで、しっかりと愛されていることを自覚してるから、ちゃんと賢太郎さんの目を見て答えられる。
その私を見て、賢太郎さんの表情がホッと和らいだ。
「…あとな、紅羽もすごく那知のこと心配してる。那知が倒れたのも自分が俺に甘えてショックを与えたからだ、って責任も感じててな。…最初は紅羽がここに泊まるって言い出したんだ。那知が起きるまで自分が寝ずに見てるから!って」
「紅羽さんがそんな事を…」
「でも俺が那知についていたかったから、紅羽には遠慮してもらってさ」
「そうなんだ……あっ、賢太郎さんも毎日ここに泊まってたらちゃんと休めてないよね……ごめんなさい、お仕事もあるのに…」
「俺は大丈夫。体力には自信あるし」
「でも身体は休めてないよ……それこそ賢太郎さんの方が倒れちゃう…」
体が心配でそう言うと、賢太郎さんが、ふっ、と優しく笑った。
「…きっと、ここにいない方が気になって眠れない」
って頭を撫でてくれた。
「心配でストレスもたまるし、何より俺は那知と一緒にいられれば、それだけで幸せだから」
…その言葉に賢太郎さんの愛情を深く感じると涙腺が緩み、私はまた賢太郎さんに抱きついた。
「ありがとう…嬉しい…大好き…賢太郎さん」
「ん…俺も大好きだよ」
抱き締められながら、本当に愛されていることを改めて実感していた。