空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
それから、賢太郎さんが「おっ……そうだ」と鞄を探り始め、手にしたのはいつもの手帳。

そして表紙を開いて内側から取り出したのは…あの空色の懐紙。


「那知が思い出したのなら、もう見ても大丈夫だよな」

「…見てもいいの?」

「あぁ、那知に宛てて書いた手紙だから、いつか読んでもらおうと思ってたんだ。……でも」

「でも…何?」

「やっぱ恥ずかしいからやめとこうかな…若い時のだし…出すに出せなかったくらいだし…あーやっぱダメ!何かすっげぇハっズいこと書いた気がする!」

って、そのお手紙を持った手を上にあげちゃった。

「え!やっ…見たい!お願い、見せて見せて!」

当時の賢太郎さんが私に宛てて書いた手紙だもん!それは絶対に見たいよ!


「いや、マジで黒歴史並に恥ずかしい気が…」

お手紙を持ってない方の手で顔を隠してる賢太郎さんがすごくかわいくて、自然と笑みがこぼれた。

「ふふ。…ね、賢太郎さん、お願い。絶対に笑わないから見せて?」


そうお願いする私をチラッと見ると、そっと私の手にそれを置いてくれた。

「俺あっち向いてるから、今のうちに読んでっ」

そう言い捨て、くるりと背中を向けちゃうスーツ姿の賢太郎さんがかわいすぎて、久しぶりに胸がキュンキュンしてる。ふふふ。


「ありがとう。じゃあ見るね」

私はそっと空色の懐紙を開いた。


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