空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
意識を取り戻した翌日から様々な生理機能検査を受けたが、特に異常は見つからなかったため、私は金曜日の午前中に退院することになった。
「ここは俺が出します。こうなったのも俺のせいだし、那知の夫になる者として俺が支払うのが道理なので」
病院の会計に向かいながら賢太郎さんがそう言うと、お兄ちゃんが反対した。
「いや、ここは俺に出させてくれ。那知の保護者としてやってやれる…最後の…事…だろうからさ……グスッ」
なんて涙目の鼻声。
「お兄ちゃん……グスッ」
そんなこと言われたら私まで泣けてきちゃった…
ちなみに、ほんとは私が支払うつもりでいたのだけど、昨日、賢太郎さんに「いいか、絶対に俺が払うからな、那知は絶対に財布を出すなよ」と強く言われてしまったので…おとなしく従うことにしました。
「勇貴さんにはこれからもお世話になりますけど、まずは大事な役目がありますから、そちらをお願いします」
「…何だよ…大事な役目って…グスッ」
「勇貴さんには、お父さんの代わりにバージンロードで那知をエスコートしてもらいますからね。ほら、重大な大役ですよ?」
「…バージンロード……」
って言いながら私を見るその目から、どばあっ!て涙が溢れ始めた。
「そうかぁ…そうだよなぁ……俺が那知をエスコートするんだよなぁ……グスッ…俺の手から……那知をケンに託すんだよなぁ……グスッ…それが保護者としての最後の……うあぁ…那知ぃ……グスグス…」
なんて私を抱き締めるものだから……
「お兄ちゃん……まだ泣くのは早いってば…」
…と言いながら私もお兄ちゃんに抱きついて、2人でおいおい泣いてしまった。