空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

プロポーズ~私達の未来へ


お兄ちゃんを見送った私達は、近場でランチを済ませると、今日と明日の宿泊先である『華舞雪舞』へと向かった。


私は入院中にちゃんと普通の食事もとれるようになり、体もすっかり元気になったのだけど、それでも先に一人で東京に帰すのは心配だと、賢太郎さんが今日と明日は華舞で宿泊することを勧めてくれたんだ。

というかほぼ命令で、それを聞いたのも宿泊の予約を取った後だったからね、ふふ。


賢太郎さんのこちらでの仕事ももうほとんど片付いているらしく、土曜まで細かな残務処理をして、日曜日に一緒に帰ることにしてくれた。

もちろん、今日と明日は一緒に宿泊!


なのは嬉しいんだけど、連れてこられたのは…


「…離れのお部屋なの…?」

「あぁ、その方がゆっくりできるだろ?」

「そうだけど…」

お高いのは知ってるし、しかも連泊なんて…


「金のことなら気にするな。もうすぐ奥さんになる那知にはゆっくり体を休めてほしいんだよ。な?」

そう言って私の頭を抱えるように抱き締めてくれた。


「うん…ありがとう」
その気持ちがすごく嬉しくて、私も賢太郎さんの背中に腕を回して、きゅうっと抱き締めた。


「じゃあ…悪いけど少しだけ仕事してくるな。外は寒いから、部屋でゆっくりしてて。体のこととか何かあったらすぐに電話しろよ?」

「うん、わかった。行ってらっしゃい」

…カチャリ…


ドアが閉まったのを確認してリビングへ戻ると、私は三人掛けのソファに腰を下ろした。

「あわわ」
思いの外やわらかい座面に、ふわん、と体が優しく沈む。


…ここはこの前とは違うお部屋。

このソファもだけど、各部屋でインテリアや調度品が違うんだね。
間取りは同じだけど、雰囲気が違ってていいなと思う。



1人きりになった離れのお部屋は、こうして見渡すとほんと広い。

尚人にフラれて一人で来たあの時……もし一人きりで過ごしてたら、余計に寂しくて悲しかったかも。

でも、賢太郎さんがいてくれたから、お部屋がこんなに広いだなんて気にすることもなかったんだね。


…そんな事を考えながらテレビを見ていたら、いつの間にかソファで寝ちゃってたみたい。
スマホの着信音で目が覚めた。


「…うん……賢太郎さん?」

『あぁ、中々出ないから心配した。どうした、大丈夫か?』

「心配させてごめんね、ソファで寝ちゃってた」

『そっか、それなら安心した。でもちゃんと暖かくしてたか?帰ったら一緒に風呂入って温まろうな。…じゃあこれから帰るから…あと10分位かな、もう少し待ってて』

「ふふ、ありがとう。待ってるね」


賢太郎さんの声を聞いたら、会いたくて会いたくて心がうずうずしだした。


今日は…キス、してくれるかな……

病院で目が覚めてから、抱き締めてもらうことはたくさんあったけど、キスはしていない。

…まぁ病室でするわけにもいかないか。


だから…今日も明日も…いっぱい甘えたいな。

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