空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
「美味しかったぁ!ありがとう、賢太郎さん。このチョコの組み合わせでまた飲みたいな」
「はは、喜んでもらえてよかったよ。今度は普通のワインにしようか」
「ふふっ、そしたら私、また賢太郎さんにウザ絡みしちゃうかも」
「それは大歓迎。ってか俺だけだぞ?絡むのは。…ほんとに酔った那知もたまらなく可愛いかったんだから」
「え、全然可愛くないってば。…でも賢太郎さんに絡むの、楽しかったなぁ、ふふ」
とその時の事を思い出していると、賢太郎さんが私の頭を撫でて話し出した。
「…那知。この部屋…わかる?」
「この部屋?……前に私が予約したお部屋でないのはわかるけど」
と答えると、賢太郎さんが徐に立ち上がり、お部屋の中を歩き出した。
「昔はここにはソファがなくて……ここに襖があって部屋が区切られてて」
…昔?
「うん」
私も立ち上がり、説明を続ける賢太郎さんの元へ行く。
「で、こっちの部屋のこの辺りにテーブルがあってさ…」
「うん」
「そのテーブルで俺、アメリカの住所と電話番号を書いたんだ」
えっ!
「じゃあ…このお部屋って、昔、ケンちゃんが泊まってたお部屋ってこと!?」
「そう」
賢太郎さんが私に優しい笑顔を向けた。
「あの時……俺の連絡先を受け取った那知の嬉しそうな顔や仕草がすげぇ可愛くて…愛しくて…マジで堪らなくて抱き締めたんだ。こんな風にね」
と、優しく抱き締められた。
「…私、ただただドキドキしてた…」
「あの時、ほんとは『俺のことも抱き締めてよ』って言いたかったけど……男にウブな那知にそんな事言って嫌われるのが怖くてさ、それで『ハグしてみて』なんて軽い言い方をしたんだよな」
「ふふ、そうだったんだね。私、言われた通りにハグしたよね。…男の人にするなんて初めてで緊張したなぁ」
「ん…那知に抱き締められるの…すげぇ嬉しかった。それで、もっと那知が欲しくなって…キスしていいか聞いたんだ」
「それね、すっごいドキドキしたの……嬉しいを通り越してビックリした。だって、まさか憧れのケンちゃんからそんな風に想ってもらえるなんて夢にも思わなかったもん」
「そっか、驚かせてごめんな」
「ううん、嬉しかったから。ふふ……ほんとに嬉しかったんだぁ」
話していたら、あの時のふわふわした桃色の気持ちがよみがえって、賢太郎さんの男らしい厚い胸に、ぴたりと頬をつけた。
そういえば…
こうして抱き締められたあとにキスしたんだよね。
あの時みたく、この後してくれるのかな…
なんて考えてたら、賢太郎さんが抱き締めてた腕をほどいた。