空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
「そーいや那知、会社で兄貴から渡されてたのって例の『パッション』でしょ」

「あっ、そうだよ」

「パッション?何ですの?」

「『経済パッション』ていう若い人向けの経済誌で、内容もかなりカジュアルなものなんだけど、その最新号の名物コーナーに賢太郎さんが出てるんだ」

「ああ、それなら春之新も読んでますわ。そのコーナーって、砕けたインタビューと百問百答のでしょ?」

「そうそう!それ」

「あれにお兄様が?まぁ…」

「でもあたし、何となく見なくても分かるわよ。百問の答え」

「えっ、何で?」

「大抵のものに『妻の』とか『妻が』って入ってるわよ、きっと。もちろん『妻』って答えもね。断言するわ、あっははは!」
「ふふふ、確かにそうですわね!それは私にもわかりますわ」

「まさかぁ!いくらカジュアルとはいえ、さすがに経済誌だよ?」

「何、那知はまだ見てないの?」

「うん。夕方はバタバタして家に置いてきちゃった」

「そっか、じゃあ帰ったらじっくり読んでみなよ、きっと『妻!妻!妻!』だから」

「あははっ、さすがにそれはないだろうけど、でも見るのが楽しみだな」

「龍綺なんて、今後の就職説明会で使う気でいるわよ、『これは社長を知ってもらうのに一番イイ資料だ!』って」

「え、内容にもよるけど、もしさっきの話の通りなら…」

「兄貴狙いの女は入らないだろうね」
「それは良案ですわね!うふふ」

「や、使い方違うでしょ。……でもまぁ……その方がいいけど…」

「やーん、那知さんてばいくつになってもかわゆい!お兄様がメロメロなのもわかりますわぁ」

「だよねー」

「ほんとに…那知さんがお兄様の昔からの想い人でよかったと、心から思いますわ」

「紅羽さん…」


かなり前だけど、霧ちゃんと紅羽さんと3家族で集まった時に、全部話したんだ。
私と賢太郎さんの過去の出来事を。

そしたら紅羽さんは「やはりそうでしたのね」って。

最初に華舞のロビーで話した時はまさかと思っていたけど、あれから私に対する賢太郎さんの態度を見ていると、きっとあの執着愛の相手に違いない!と確信に近いものがあったんだって。




「…んじゃ、そろそろ帰ろっか。龍綺達も帰ってるみたいだし」

霧ちゃんがスマホを見ると、紅羽さんと私も倣ってスマホをチェックした。

「うちも帰ってきたみたいですわ。…ユナ、莉真ちゃんと遊んだのがすごく楽しかったみたい。妹みたいでかわいいって毎日言ってるのよ、うふふ」

「あはっ、ほんとだ。みんな楽しんだみたいだね。…紅羽さん、今日は誘ってくれてありがとう。来週から一緒にデザイン考えようねっ」
「こちらこそですわ。うふふ、楽しみですわね」


なんてほろ酔いの3人はそれぞれ最愛の夫と子どもの待つ家に帰宅した。


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