空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
運命の想い人/side 賢太郎
「……私は全然かわいくないからー…28で捨てられるんれす……結局なんらかんら言って…男の人は若いコが好きなんれすよねー……はー……全然しっかり者じゃないのになー……尚人のために我慢したらけなのになー……」
地酒をおちょこ3、4杯飲んだ那知から聞いたのは、アホな男と女の話だった。
そして、どれだけ那知がその男を大事にしていたのかも……悔しいけどよく分かった。
「…那知、そいつの写真あったら見せて」
ダメ元でお願いすると、那知が自分のカバンを漁り始めた。
そして取り出したスマホを少しいじると、据わった目で「んっ」とそれを俺の目の前10㎝の近さにずいっと出してきた。
「ははは、近すぎ近すぎ」
可愛い酔っぱらいに笑いながら、そのスマホを受け取る。
こいつが元彼…ナオトってヤツか。
ふーん…まぁ外見は悪くはないな。
那知はこんなに可愛い女なのになぁ…
バカな男。
でもそれでよかったよ、俺にとってはな。
「那知、ほかの写真も見ていいか?」
「んー、いーよー」
「サンキュ」
俺は那知のスマホを片手で持ち、親指でスワイプさせる。
ふーん…確かに以前は仲良さげに2人で写ってるな。
…クソッ
嫉妬心を持ちながら見ていたら、ひょこっと脇から那知が画面を覗き込んできた。
「賢太郎さん、すごいれすねー!指長ーい!私、親指でスワイプすると変なとこ触っちゃって変な画面になっちゃうんれすよー」
「ハハッ、可愛いくて俺は好きだけど」
っと…
普通に思ったまま言っちまった。
けど「かわいくないれすよー、変な画面になるんれすよ?」なんて、那知は特に気にしてないみたいだな。ホッ
…あ。
「那知、よく一緒に写ってるこの女性は?」
「んー…?…あーその方はー、先輩でありお友達の霧ちゃんれすー…」
「きりちゃん?」
「お名前はー、相馬霧子さんていってー…すごく美人さんでー…お友達だけどほんとにお姉ちゃんみたいでー…すごく良くしてくれるんれすー…今回もー…私の代わりにすっごく怒ってくれててー…ほんと大好きなんれすー」
「そう、いい友達を持ったね」
「はい…ほんとにありがたくてー…」
那知の頭を撫でながらスマホを見ていたら、那知が俺にしなだれ掛かってきた。
お、これはもしや……まさか……脈アリ…?
「…でも…私なんて…アラサーだし……かわいくないし……行き遅れる運命なんれす……ていうか……運命の人なんて…いないんれす……別にいーけど…お仕事も楽しいから…お仕事に生きるんれす……んー…」
違うな……眠くて寄り掛かってきただけか。
はは、もっとウザ絡みされたかったな。