空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
俺は膝立ちすると、湯に浸かったまま正面からゆっくりと那知を抱き締めた。
右手で頭を、左手で身体を、しっかりと力強く。
「け…んたろう…さん?」
「那知。那知は誰が見てもいい女だ。少なくとも俺はいい女だと思ってる」
「…えっ…」
「俺は仕事柄、人を見る目に自信はある。那知は俺が知る中でもいい女だよ」
「…ううん、そんなこと……」
「いいか、那知。元彼にとってどんな存在だったかなんてもう考えるな。そんなものに意味なんかない。…この2年、那知は懸命にそいつを支えてきたんだろ?それは絶対に那知の人生にとって必ずプラスに働いているはずだし、それだけで充分だ。それと…若い女に負けた?違うだろ、その男がただ弱い奴だっただけだ。…こんなにいい女を手放すなんて、本当にバカな事したよな、そいつ」
「…賢太郎さん…」
「だから那知が引け目に感じることなんか何一つないんだよ。…俺の言ってること、わかるか?」
俺の胸で「んっ……うんっ……」と頷いた後すすり泣く声がしたから…そのまま泣き止むまで那知の頭を撫でていた。
それからしばらくして…
「…ありがとう…賢太郎さん……すごく心強くて、すごく嬉しい……賢太郎さん…こんな私を認めてくれて…ありがとう」
那知が俺の胸にうずめていた顔を上げ、俺を見た。
わっ、近……
あぁ…可愛くて……
狂おしいほど愛おしい……
涙目でエヘッと控えめに笑うその笑顔に一切の曇りはなく、それはもう無理して作られたものではない様に見えたから…
嬉しくて…
だから…
俺は那知の後頭部を押さえてた右手を頬にずらすと、那知の唇に優しく口づけた。